ギャッベの始まり

ギャッベの始まり

■時代が彼らに追いついた!

世界が驚いたプリミティブアート「ギャッベの世界」





ギャッベの歴史は、それほど古くありません。
といっても、商品として市場に登場したのが、絨毯の歴史の中では比較的最近であるということであり、遊牧民たちははるか昔から・・・おそらく彼らの遊牧生活が始まった時代から、ずっとギャッベ(名前は違うかもしれませんが)を使ってきたのでしょう。





初めてヨーロッパの市場でギャッベが紹介されたとき、多くのカーペットディーラー達は「こんな絨毯があったのか!」と驚くとともに、その素朴なデザインと鮮やかな色の芸術性に感嘆したといいます。
20世紀後半になって「発見された」プリミティブアート。それがイラン南部の遊牧民が織るじゅうたんだったのです。

遊牧民の生活の中から生まれた、鮮やかな色彩や、いきいきと描かれる動物や草花…。
じゅうたんに織り込まれた彼らの繊細な表現が、ようやく世界に理解された!それは、時代が彼らの感性に追いついた、ということだと思うのです。



実は現地での発音は「ギャッベ」というよりは「ギャベ」または「ガベ」に近いのです。
当店で使っている「ギャッベ」という表記は、英語のつづりが一般的に「GABBEH」であるために、それを日本語風に読んだものです。映画が日本に紹介されたときには、「ギャベ」が使われていました。


■じゅうたんの歴史が動く!

ギャッベが市場に登場したころ、ペルシャ絨毯を扱う人々からは「あんなのは絨毯じゃない!」と、まるで価値を認めない扱いを受けていたそうです。イランのバザールでも、ヨーロッパの見本市でも、ペルシャ絨毯のお店と隣り合って出店することすらできなかったとか。

もちろん、ペルシャ絨毯は数世紀、数十世紀に渡る長い歴史と、高い技術、巨大な市場がありますから、比べ物にはなりません。ましてや、緻密で精巧な織りが評価されるペルシャ絨毯から見れば、目が粗い織りで、クレヨンで描いた落書きのようなデザインのギャッベは、まったく評価されようもない。(ギャッベの良さは、ペルシャ絨毯とはぜんぜん別のところにあるのですから!)

それでも、世界中のディーラーたちはギャッベを見逃さなかった。というよりも、マーケット全体が強く望んでいたのは、現代の生活に合う「新しいじゅうたん」。


ギャッベは登場以来わずか数年で、みるみると市場を広げて、地位を確立していったのです。



『イラン南西部・シラーズ近郊の村を訪ねる』




『カシュカイ族の夏の野営地』